過去ログ - 竜華「何で死んでもうたん怜……?」 怜ちゃん「何でやろな〜」
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18: ◆lhQ1p.wlng[saga sage]
2013/08/14(水) 22:36:00.73 ID:tJOLQydwo
「ううん今はセーラんとこに寝転んどるよ」

口に含んだから揚げを嚥下して竜華は指でセーラの肩を指し返した。

『感の悪いやっちゃなぁ』

セーラの肩上で体を横にした怜が肩を竦めた。

「……ほんまわからへんなぁ」

竜華に指された方に顔を向けるセーラだったが寄せた眉根は離れる気配がない。

『もっと気合入れれば見えるかもしれへんよ?』

「もっと気合入れれば見えるかもしれへんて」

「気合か……うおおぉ!」

怜の言葉を竜華が伝えるとセーラは震えるほど全身に力を込めて目を凝らした。

『ほんとに見えるようになるん?』

『竜華も強い相手と打った時にゴツい気配感じたことあるやろ? うちは元チャンピオンと打った時に背中から鏡で覗かれる気配を感じた。せやったら今のうちも見えるようになるかもしれへんやん』

はっきり見えたわけやないけどと、怜は締めくくる。その声には多分に期待の色が含まれていた。

竜華にも怜の言う『ゴツい気配』を感じた経験は確かにある。

インターハイの団体戦準決勝で同卓した一年生二人からその気配を受けて戦慄した記憶は新しい。

今の怜は彼女達の気配の元と同じ存在。ならば見えるかもしれないというのも充分有りえる話だった。

竜華も期待して震えるセーラを見ていたが、

「だ〜めや。ぜんっぜん見えへん」

彼女は脱力して椅子にへたり込んでしまう。

『まっ、そう簡単にはいかへんよな』

落胆するセーラと共に怜の顔も少し落胆していた。それでもまだ希望が見て取れる表情をしている。

(怜が深刻そうやなかったのは、他の人に見えるようになるかもしれへん希望があったからなんやな)

考えることをやめていた自分とは大違いだと竜華は己を恥じた。

誰よりも辛いはずなのに怜は絶望することなく自分の行く末を考えていたのだ。

(怜はほんまに強いな)

自分に気がつかせようとしているのか食事に戻ったセーラの頭を何度もはたいている怜を見て、竜華は親友の心の強靭さを再確認した。


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