317:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/09/27(金) 20:22:34.85 ID:gj1tucX00
「美琴」
振り返ると、上条がいたのだ。
そしてその手にある紙に気づいた。
「それ持ってるってことは、私の部屋に入ったの?言えばいつでも入れてあげるのに」
「もう全部知ってるぞ、実験のことも、妹達のことも。だから無駄なことは省こう」
知られてしまったのか。
「で、あんたは許せないって思ったの?もしかして、心配でもしてくれた?」
どう思おうが構わない。どうせ結果だけ見れば同じなのだから。
しかし、彼の答えは美琴が考えているものと正反対だった。
「心配したに決まってんだろ」
(そんなこと、言わないでよ)
真剣で、それいて優しいその目を見ると。
(甘えたく、なっちゃうじゃない。でも、駄目よ)
上条は地図を取り出して、さらに続ける。
「それにこのバツ印。これじゃあまるで」
「撃墜マークだと思ってるんでしょ?その通りよ」
「そこまでやっても実験は中止にならない。御坂美琴128人分の代わりに妹達が作られたんだったら」
「私が最初の一手で死ねば、全てが終わる。だから、行かせて」
「・・・・・・行かせない」
バジッ、と美琴は電撃で上条の手の紙を焼き払った。
美琴の目は今にも泣きそうだ。
「次は本気よ。どきなさい」
「どかない」
上条は両手を少しばかり挙げてそう言った。
「っ、ふざけんな!」
美琴の前髪から出た電撃が橋の支柱に当たり、上条の頬に傷を付ける。
「止めたいんだったら戦え!そんなこともできないんだったら立ち塞がるな!半端な覚悟で人の願いを踏みにじんじゃないわよ!!」
「俺は戦わない」
バジィ!!と電撃の槍が上条を貫いた。
「え、ぁ・・・・・・」
感情的になって出した槍は確かに効いた。
死んでしまったかもしれないと不安になった美琴は、かすかに動く上条を見た。
(良かった。生きてる)
上条が立ち上がった。
生きていて嬉しいけれど、それを表には出せない。
「これでわかったでしょ。どきなさい」
「だめ、だ。お前に、死んで欲しくない」
「おねがい。もうこれしかないの!たとえ実験が中止にならなくても、私が死ねば、あの子達も気が休まるでしょ!!だから、そこをどいて」
それでも上条は、首を横に振る。
「たとえ誰もが笑って暮らせる世界があったって、そこに私の居場所なんかない。だから、お願い」
「美琴のいない世界で笑ってる事なんてできない奴がいる。白井も、インデックスも、俺も。だから、どかない」
「――っ!!」
美琴の体から放たれた電撃は球状となり、橋を溶かし、下の川を蒸発させ、爆発させた。
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