過去ログ - モバP「持たざる者」
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72:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/08/18(日) 01:35:39.80 ID:5KYJ1bMVo
その時の俳優さんの演技は鬼気迫るものがあり

演技とわかっていながら、「本当に襲われる!」と怯えて目尻に涙が浮かぶ程でした

その印象は、頭ではわかっていても体には恐怖としてこびりついていました
以下略



73:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/08/18(日) 01:36:45.64 ID:5KYJ1bMVo
その俳優さんの楽屋の前に立っている時点で、ピリピリと、緊張感が伝わってきました

全身に寒気を感じて、鳥肌も立っていました

「優しい人だから、そんなに緊張しなくても大丈夫だよ」
以下略



74:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/08/18(日) 01:37:33.57 ID:5KYJ1bMVo
彼の話は至極単純明快で、私の演技への批判でした

とは言えど、注意されてみれば確かに「そこを直せば演技力が向上する」という事柄ばかりで、目から鱗が落ちたものです

話の最中、彼は時々私を慈しむかのような眼で視線を送って来ました
以下略



75:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/08/18(日) 01:38:01.22 ID:5KYJ1bMVo
言葉が口から突いて出て、それから私は場の雰囲気が変わったことに気がつきました

隣に立っていたはずのプロデューサーさんは、額を地面に擦り付けて、しきりに謝罪の言葉を口にしていました


76:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/08/18(日) 01:38:34.15 ID:5KYJ1bMVo
その後私は、プロデューサーに病院へ連れて行かれました

診断の結果は、季節外れのインフルエンザ

度重なるオーディションや仕事による疲労で体力が落ちて、そこで感染したようでした
以下略



77:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/08/18(日) 01:39:17.93 ID:5KYJ1bMVo
モバP「この時期のインフルエンザはどうしようも出来ません」

モバP「自分が島村さんの体調不良に気がつけなかったのが全ての責任です。申し訳ありませんでした」

十つは下の、言ってしまえば「小娘」の私に、彼は深々と首を垂れて謝罪しました
以下略



78:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/08/18(日) 01:40:02.92 ID:5KYJ1bMVo
私は自宅療養ではなく、病院の個室で入院しました

最速の復帰を必要とされていたということもありましたが

大事なひとり娘を病に倒れさせておいて家族にまで感染させるようなことがあれば
以下略



79:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/08/18(日) 01:40:45.99 ID:5KYJ1bMVo
既にそれだけの時間が経過して、肉体の不調は一切なくなり、自分の行動がどれほどまずかったかと自己嫌悪に陥っていた頃

事務所の喧騒が懐かしくなり、窓の外からはどこかの学校の放課を告げるチャイムの音が聞こえて

そこで、あの大御所の俳優さんが私の病室を訪れました
以下略



80:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/08/18(日) 01:41:30.70 ID:5KYJ1bMVo
「すまなかったね」開口早々に、俳優さんは私へそう言いながら、頭を下げました

驚きました。

芸能界が年功序列であることは、アイドルになって第一に教えられることでした
以下略



81:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/08/18(日) 01:42:00.56 ID:5KYJ1bMVo
聞くも涙語るも涙、のような言葉とは違い、非常に簡素で単純な、お涙頂戴の対極に位置する語り口

しかしそれでも、私の双眸から涙が止まる事はありませんでした

泣きたいのはきっと、俳優さんのはずなのに
以下略



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