105: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/09/17(火) 22:44:07.45 ID:KwFoDQjV0
なんだ。なんだこれ。一体全体なにがどうなっている。
車が突っ込んで来た――それはわかる。それにしたってタイミングがよすぎやしないか。絶妙に彩人を避けて、あたしだけを轢殺するこの角度。
邪気眼と同じようなサイコキネシスか? けれどそれなら、ブレーキ音がするのは聊か理解に苦しむ。事実邪気眼が車をぶん投げたときはブレーキ音なんてしていなかったはずだ。
眼前から圧を感じた。能力を信じきっているあたしは決して慌てない。この光の路を辿っていけば、少なくとも死ぬことはない。とはいえ、まずはこの窮地を脱することが先決。
敵の正体はおいおいわかる。だって、あたしの前ではプライバシーなんて存在しないから。
ごう、とあたしの背中を車と風が掠めて行った。途轍もない衝撃音と破砕音のデュエット。車は門に突っ込み、自身も、門も、大きく大破させる。
能力を起動し続ける。範域内の全ての人、物の動き、おかしな能力、全てを情報として収集。どんな動きにも対処できるように、真っ直ぐ彩人を見て。
おかしいな、と思った。
あたしの手を引いていた、あの小さくて暖かい手のひらが、やたらに重く感じられたから。
息を呑んだ。
見るのが怖い。
足元に滴る粘つく液体。これはなんだ。
ガソリンか?
それとも――
120Res/103.12 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。