29: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/08/24(土) 09:34:23.35 ID:Eikl4zs70
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眼が覚めたら激痛は消えていました。崩壊した我が家も元通り。あのぬいぐるみは約束を違えることはなかったようです。有言実行、さすがですね。
まさか全てが夢だったのではと逡巡します。手を繰り返し、ぐーぱー、ぐーぱー。
私の能力は体操服のように単純ではありません。確かめようと思ってもすぐに確かめられるものではない。あのぬいぐるみ――ムムと言いましたか。あいつは昨日とは違って私のそばにいませんでしたから、実感も当然湧かないのです。
だから、どっちつかずの気持ちを抱きながら、朝ごはんの並んだテーブルに着きます。トーストと目玉焼きに、昨日の残りの筑前煮が並んでいました。あと麦茶も。
お母さんは少し疲れた顔をして私を出迎えてくれました。きっとパートが忙しいのでしょう。
高校を卒業すれば私も働くよと言っているのに、今どき大学くらい出ておかなきゃと言って聞かない強情っぱりです。娘としては嬉しいやら気を使うやらで複雑な気分。
腕によりをかけた朝食を美味しく胃の中に納めて、私はセーラー服に着替えます。最近また胸が大きくなったような……下着を買い代えるお金だってばかにならないのに。
少女「いってきまーす!」
元気に挨拶をして私は家を飛び出しました。
学校はいつもと変わらずそこにあります。当然です。登校して学校がなかったら、それは夢か、もしくは戦時中です。
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