過去ログ - ハンジ「トカゲのしっぽ」
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4: ◆Cu6AcOt1Qg[sage]
2013/08/20(火) 23:51:26.97 ID:ytWrrUZx0
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深夜2時を回る。 今日はいつにもまして静かだ。
明日、大規模な壁外調査が行われる。皆早々に部屋に戻り、さまざまに過ごしているのだろう。
震えて祈るもの、家族や恋人に手紙をかいているもの、そして仮初の熱に身を任せるもの。

子供向けの冒険譚ならさしずめこんなタイトルだろうか・・・「巨人少年の秘密の地下室」。

でも私は知っている、本当は、邪悪な女神を捕まえに行くんだって。
その女神はとても強くて狡猾で、だからちっぽけな人間は幾重にも罠を張らなきゃならない。
誰かが金の林檎になって、誰かが盾になって、・・・誰かが生贄になって。

非情に有能な我らが王様は、ごくわずかの古い家臣にだけ、計画をうちあけた。
その中に、人類最強の騎士は居ない。

彼は、明日、金の林檎の盾になるのだ。

窓から漏れる月明かりに照らされた白い冷たい石の部屋。
そっとベッドが揺れ、私の上に影が落ちる。

「・・・・・行かないの?」

「・・・上手に、使えよ」

俺の心臓を。

酷く優しい声でそれだけ言い、黒い影が音もなく出ていった。

私は自分の心を切り離す。 何度切り離しても、トカゲのように再生する思いを。
それは素晴らしくもなく神様のご褒美とも思えない、呪いのようだった。


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