過去ログ - 雪ノ下「比企谷君、今からティーカップを買いに行かない?」
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◆GULJi96aoSzS
[sage saga]
2013/10/26(土) 20:37:54.51 ID:t4lG1/uao
「すっかり暗くなったわね。あの時間帯に宿に入って正解だったわね」
山奥にあるので千葉よりも暗くなるのが早い祖谷。
雪乃は今日の早い時間帯のチェックインに疑問を感じていたが、どうやら理解したようだ。
風呂をあがってようやく一息つけた。
しかし、そうゆっくりはできなかった。
ランプの灯りのもと、メモ帳に今日見学してきた内容をまとめる作業をしていた。
この家屋には電気が引かれていない。
当然コンセントもない。
パソコンは全く使えないので、手書きで記録をまとめていた。
「八幡、まだ終わらないのかしら」
雪乃が不機嫌そうに声をかけてきた。
「あともう少しで終わるから待っていてくれ」
雪乃が持参したシャンパーニュロゼを啜りながら答えた。
「本当に少しなのかしら」
俺のメモ帳を覗き込んできた。
「ああ、あと10秒もあれば終わる」
最後の一文を書き留め終えると、雪乃が肩にもたれかかってきた。
「あなたって、以外にまじめなのね」
「そりゃ、単位がかかっているからな」
「それに……、今日はその……、とても頼もしかったわ」
「まぁ、俺はアウトドア向きではないからな」
「ただの引きこもりかと思っていたのだけれど……、す、素敵だったわ」
ランプの揺らぐ炎のせいか、雪乃が艶めかしく見えた。
髪をアップにしているので、うなじが覗いている。
ドキッとした俺は思わず紅潮しているうなじを凝視してしまった。
しばらく互いのことを見つめ合って極上の沈黙の時間を過ごした。
雪乃とはこうしているだけで幸せだ。
互いに口数が少ない分、無言でいても苦に感じない。
むしろ、俺たちは静寂のひとときを楽しんでいるきらいがある。
不意に谷崎潤一郎の『陰翳礼賛』を思い浮かべてしまった。
初めて読んだとき、日本で初めてスワッピングをした変態が何を言うと思ったが、この状況では
谷崎の言わんとしたことがなんとなくわかった気がする。
まぁ、でも、あれだな……。
谷崎が美しいと言っているものより、雪乃の方が間違いなく美しい。
異論は断固として認めない。
そんなことを考えていると、雪乃は俺の胸に顔をうずめて静かに寝息を立てた。
テレビも見れないことだし、今日はもう寝るとするか。
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