過去ログ - 後輩「わたしは、待ってるんですからね」
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240:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/04(水) 18:15:46.12 ID:hAkQPchbo

 とっさに何も言えなかった。
 妹の顔は青ざめていたし、自分でも何が何だか分かっていないような様子だった。
 パジャマ姿のまま、サンダルをつっかけて、髪も少し乱れたまま。熱に浮かされたような顔で。

 すぐに従妹が後を追ってきた。彼女もまた、何が起こったのか分からないという顔でこっちを見た。

「……寝てろって言っただろ?」

 と良い兄貴みたいなことを言ってみると、妹は俯けていた顔をあげて、俺と目を合わせた。
 不安そうな表情で、こっちを見上げている。さっきよりずっと、今の方が具合が悪そうだった。
 ほんの少しの時間しか経っていないのに。

「すぐに戻るから。な?」

 そう言い聞かせようとしたとき、自分の声がすごく嘘っぽく聞こえた。
 妹は一瞬、表情をくしゃくしゃに歪めた。泣きそうな顔。錯覚かと思うくらいに、短い間のことだった。
 
 それから、数秒の沈黙が流れて、

「……うん」

 と、掠れるような声で妹は呟く。
 服の裾から手を離すと、ふらふらと従妹の方へと戻っていった。
 従妹は何かを言いたげにしていたけれど、連れ帰るように促すと、結局それに従ってくれた。
 
 ふたりの姿は、すぐに霧で見えなくなった。



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