過去ログ - 後輩「わたしは、待ってるんですからね」
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32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/22(木) 19:16:25.50 ID:ESoSJTHeo

 シィタ派の視線の先を追って、部長が俺の方を見た。
 浴衣はよく似合っていた。たぶん三年の友達同士で来たんだろう。

「おー。楽しんでるー?」

 いつもの間延びした声で、部長は俺にそう訊いた。
 いつも通りの笑顔。顔見知りの後輩に向ける笑顔。

 なんでもない、挨拶みたいな質問。それなのに。

 自分が夏祭りを楽しんでいるのかどうか、それがよく分からなくて、俺はとっさに返事ができなかった。

(楽しんでる?)と俺は自分に訊いてみた。
(さあ?)と俺は答えた。

「おーい、無視ー?」

 部長は取り繕うみたいに笑ったけれど、俺の喉はまだ声を出せない。
 居心地の悪さは二割増しになった。

 ようやく何かを言えそうになったときには、場の流れはすっかり変わっていて。
 シィタ派が俺の代わりに部長にフォローを入れて、ビィ派がそれを盛り上げて。
 それからすぐ、部長たちはあっというまに去って行った。俺は一ワードも喋らなかった。




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