過去ログ - 後輩「わたしは、待ってるんですからね」
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386:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/15(日) 19:24:29.61 ID:4zbhAxRHo

 雨脚は更に強まっていた。大粒の雨が痛いほどの勢いで地面にぶつかり、跳ねかえった飛沫が視界を悪くした。
 こういうときに限って気になるのは鞄の中身が無事かどうかだけだったりする。

 ほとんどやけみたいな気持ちで家路を急ぎつつも、そういえば慌てて帰る理由もそんなにはないよなあと考えた。
 冷静に考えれば家はすぐそばだったわけで、家でも電話でもして、従妹か妹か、どっちかにでも迎えにきてもらえばよかった。
 
 そういうことを思い付いたときには既に戻るより進む方が早い距離まで来ていて、自分の考えの足らなさが嫌になったりする。
 こうも不運が続くとなんだか自分が可哀想になってくる。

 そんな調子だったから家に着いた頃にはなんだか無性に悲しい気持ちになっていた。
 だから玄関のドアを開けてすぐに妹が出迎えに来てくれたときには本当に泣きそうになった。

「傘忘れたの?」

「うん」

「ちょっと待ってて」

 慌てた様子で脱衣所に向かうと、すぐに大きめのタオルを持ってきてくれた。
 二十代の若い夫婦がやっても違和感のないやり取りだよなあ、とぼんやり他人事のように思いながら体を拭く。
 幸い制服はそんなに濡れていなかった。



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