過去ログ - 後輩「わたしは、待ってるんですからね」
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387:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/15(日) 19:25:04.93 ID:4zbhAxRHo

「すごい雨だね」

「うん。参ったよ」

 と俺は新婚夫婦の働き者の旦那風に答えてみたのだけれど、妹はなんとも思わなかったらしい。

 鞄の中身の無事を確認しながら、拭いきれなかった雫を疎んで頭を揺すると、妹は「やめてよ」と言った。
 
 それでも俺が何度も頭を揺するものだから、彼女は手を伸ばしてタオルを俺から受け取り、髪をわしゃわしゃと拭きはじめた。
 なんだか無性に懐かしいような、物悲しいような気持ちになる。

 鞄の中身は無事だったのでようやく安心して、頭を揺さぶられながら妹の顔を見ると、妙に楽しそうな顔をしていた。

 なんだろう、と思いながらじっと見つめてみると、視線をさっと逸らされる。なんだかなあという気持ちになった。

「ちい」、と俺は昔からのそうしていたように、妹のことを呼んでみた。
「なに?」と彼女は当たり前のような顔で訊ね返してくる。

 勝手に右手が動いて、妹の方に向かった。でも、その手が何をしようとしていたのか、自分でも分からなかった。
 妹はちょっと意外そうな顔で俺の手のひらを見た。俺は仕方なく手近にあった妹の頬を軽くつねってみる。



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