過去ログ - 後輩「わたしは、待ってるんですからね」
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39:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/22(木) 19:20:49.87 ID:ESoSJTHeo

 そりゃ、この場所からだって、ある程度花火は見える。会場で見るよりは小さいけど、それなりに綺麗に。
 音だってちゃんと聞こえる。ちょっと遠いだけで、ちゃんと楽しむことはできる。

 子供みたいに無心になって、彼女はいつのまにか暗くなった空を見上げていた。
 花火の音が途切れても、次は何かと待ちわびるみたいに、一瞬も見逃すまいとしているみたいに。

 俺は、そんな気持ちにはなれなかった。

「家族と、合流しなくていいの?」

「あ」

 水を差すのは悪いと思いながらも一応投げかけた言葉に、今度はちゃんと反応してくれた。
 後輩は慌てて携帯を取り出すと、シィタ派にもよろしく伝えるように言い残してあっという間に去って行った。

「それじゃ、二学期に」なんてあっさり言い残して。それだけだった。
 
 彼女の後姿を見えなくなるまで見送ってから、俺は溜め息をついて二人が居る場所まで戻った。
 花火の音に、どこかで子供がはしゃいでいた。遠くで救急車がサイレンを鳴らしていた。

 夏はそのようにして終わった。



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