過去ログ - 後輩「わたしは、待ってるんですからね」
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403:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/16(月) 20:23:29.13 ID:zhZHaN9Ho

 人は自分自身が抱える本質的な部分からは、決して逃れられないものなんです、とどこかで聞いた。

 そうだ。中学時代の担任だった男。バスケ部の顧問だった。
 部活を辞めたあとから、落伍者でも見るような目で俺を見るようになった。

 精神論が好きなバカだった。極めつけは卒業アルバムの文集に教師として寄せたコメントだった。

 全員に向けた安っぽいメッセージの後に、バスケ部全員の名前を連ねたあと、「ありがとう」と一言、書いていた。 
 そこに俺の名前はなかった。あの頃、人を一人だけ殺していいと言われたら、俺はあいつを殺していた。
 
 だから卒業アルバムを見返すのは嫌いだった。ページだけ避けようとしても、印象は強く残ってしまう。そういうものだ。

 中二の冬、部活を辞めてすることがなく、かといって帰る気にもなれずに教室に残っていた俺に、彼は一度だけ話しかけた。

「なぜ帰らないんだ?」と彼は聞いた。俺は面倒だったけれど、少しだけ考えた。
「親がうざいから」と俺は答えた。その頃にはもう、父のことを憎んではいなかった。
 すべては俺のせいだと知っていた。だって夢の中で母がそう言ったのだ。

「おまえくらいの年頃だと、まあ親っていうのは鬱陶しいものだからね。
 でも、そのうち感謝するようになる。誰だってね。あまり邪険にするものじゃないよ」



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