過去ログ - 後輩「わたしは、待ってるんですからね」
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425:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/18(水) 19:11:07.05 ID:HkmCtYrLo

 声はそこで一度途切れた。自分の身に何が起こっているのか、把握できない。
 窓の外の景色は、霧に塗りつぶされていた。ここからはもう、何も見えない。

「……俺のせいだろ、母さんが出て行ったのは」

「それ、本当かなー?」

「だって、母さんは、俺が……」

「良い子にしてなかったから、って言うの? でもそれ、ぜったい変だよ。
 良い子だろうと悪い子だろうと、親が自分の子供を置き去りにしていい理由になんてならないでしょ?」

「……」

「“どんな苦痛でも、それにすこしの罪も混っていなければ、堪えられるものである”」

「……え?」

「これ、嘘だよね。ヒルティは敬虔なクリスチャンだったからこんなことを言えたんだよ。
 普通の人間はね、いわれのない苦痛よりも、責任の所在が明確な苦痛の方が、耐えられる。そうでしょ?」

「……」

「理由が分からないってことは、要するに理不尽ってことだよ。でも、自分のせいってことにすれば、あきらめがつくもんね」
 


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