過去ログ - 後輩「わたしは、待ってるんですからね」
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453:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/20(金) 18:50:38.45 ID:TSSmLI+Wo

「人の言葉でしょう?」

「共感できない言葉なら使ったりしない。自分の思考を言い当てていると感じるから引用するんだ。
 俺たちに言葉は難しすぎる道具だよ。いろんな人がいろんな言葉や文章を残すけど、そんなに普遍性はない。
 だから、上手に言葉を操れる人に、自分の気持ちを代弁してもらうんだ。事実や現象は言語化すると矮小化するから。 
 そういう意味では、小説を読んだり文章を読んだりっていうのは、すごく実用的で、実際的なことだよ」

 従妹はしばらく俺の言葉について考えようとしていたみたいだけれど、やがて諦めたようだった。
 俺は言葉を使うのが上手じゃない。だからいつも、言いたいことがうまく伝えられない。

 だからときどき、大事なことを訊かれたときだけは、ちゃんと答えられるように。
 自分の気持ちを表してくれる言葉を、あらかじめ借りておく。

「……他にも、いろいろあるの?」

 うーん、と俺は考え込んだ。とっさには何も思いつかなかった。

「でもそれって、自分で説明しようとするのをやめるってことでしょ?」

「どうだろう」

 実際、自分でもよくわからなかった。とっさに口からショーペンハウエルの「読書について」の一節が出てきそうだった。
「読書は、他人にものを考えてもらうことである」。それだってショーペンハウエルの考えたことだ。俺の考えたことじゃない。



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