過去ログ - 後輩「わたしは、待ってるんですからね」
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[saga]
2013/09/22(日) 16:39:05.08 ID:9lqdvaLCo
「違う。俺は……」
「なに?」
「俺は……ただ……」
従妹は、俺の言葉の続きを待った。でも続きなんて思いつかなかった。
彼女の言葉は丸っきり正しかった。否定のしようなんてなかった。
この街が嫌いだった。ずっと前から。違和感があった。耐えきれない不快感があった。
この街にいるという事実が耐え難かった。この街にいるしかないという事実が不安だった。
でも、本当は知っていた。それは、街に対する気持ちではなかった。
俺は自分自身が嫌で嫌で仕方なかったのだ。
いや、その言い方は正確じゃない。自分自身が嫌だったのではない。
それは他者に対する恐れだった。
俺がもっと頭が良く、落ち着きがあって、よく気が付き、運動もでき、人好きのする人間だったなら、と。
他人にそう思われるのが怖かった。
自分が「この程度」であることに対して、自分自身では納得していた。それが相応だ、と。
でも、他人からもし、「こいつがこうじゃなかったら」と思われていたらと思うと、おそろしかった。
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