過去ログ - 後輩「わたしは、待ってるんですからね」
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470:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/09/22(日) 16:39:05.08 ID:9lqdvaLCo

「違う。俺は……」

「なに?」

「俺は……ただ……」

 従妹は、俺の言葉の続きを待った。でも続きなんて思いつかなかった。
 彼女の言葉は丸っきり正しかった。否定のしようなんてなかった。

 この街が嫌いだった。ずっと前から。違和感があった。耐えきれない不快感があった。
 この街にいるという事実が耐え難かった。この街にいるしかないという事実が不安だった。
 
 でも、本当は知っていた。それは、街に対する気持ちではなかった。
 俺は自分自身が嫌で嫌で仕方なかったのだ。
 いや、その言い方は正確じゃない。自分自身が嫌だったのではない。
 
 それは他者に対する恐れだった。
 俺がもっと頭が良く、落ち着きがあって、よく気が付き、運動もでき、人好きのする人間だったなら、と。
 他人にそう思われるのが怖かった。

 自分が「この程度」であることに対して、自分自身では納得していた。それが相応だ、と。
 でも、他人からもし、「こいつがこうじゃなかったら」と思われていたらと思うと、おそろしかった。




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