過去ログ - 後輩「わたしは、待ってるんですからね」
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484:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/09/23(月) 17:43:57.72 ID:BMk4ZBhio

 あの霧の日、一番大きなダメージを受けたのは、まちがいなくこいつだろう。
 いや、そもそもの話、それ以前から、俺たちの家はとっくに破綻していた。

 両親は顔を合わせれば喧嘩を繰り返していた。
 父親はろくに帰ってこなくなった。
 母親は口を開けば不機嫌さを隠そうともせずに愚痴をこぼした。

 妹はそんな中で、必死に家族を繋ぎとめようとしていたのかもしれない。
 勉強もそつなくこなして、母親の手伝いを積極的にして。

 俺には、その妹の態度が媚びているようにしか見えなくて。
 だからあの頃、俺は妹とろくに話もしなかった。
 
 はっきりとしない話し方が気に入らないとか。
 いちいち人の顔色を窺っているのが不愉快だとか。

 たぶん、そういう理由で。

 だから、あの頃きっと、こいつは本当に孤独だったし、その孤独を醸成するのに、俺も一役買っていたのだ。
 ひょっとしたら今だって、その地続きなのかもしれない。
 
 そのことを考えると、俺は自分のことが、縊り殺しても飽きたらないほど憎くてたまらなく思えてくる。




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