過去ログ - 後輩「わたしは、待ってるんですからね」
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]
2013/09/26(木) 19:42:16.19 ID:TcbpP0uzo
「……いや、違う」
俺は拳を作って自分の額を軽く小突いた。それから溜め息をついた。
「こんな言い方がしたいわけじゃないんだ。でも、俺が書いているものは個人的なものなんだ。
だから誰かに頼まれたって書けないし、そんなふうに書きたくもないんだ。
それを読んできみがどう思おうと勝手だけど、感じたことを俺に押し付けるのはやめてほしい」
その言葉は、後輩を少なからず失望させたようだった。
でも、嘘ではなかった。
彼女は俺の書いた文章に勝手な幻想を投影していた。
そんなものに付き合わされるのはいやだった。すぐに嫌気がさすに決まっていた。
「でも、わたしは……」
「“わたしは”」
と俺は繰り返した。
「それはきみの都合だ。俺とは関係ない」
そこで話は終わった。後輩は何かを言いたげだったけれど、結局荷物を持って部室を出て行った。
酷く喉が渇いていた。溜め息をつく。肌寒い。
彼女の望むようなものが書けたなら、と俺は思った。それはたぶん、すごく幸せなことだったんだろう。
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