過去ログ - 後輩「わたしは、待ってるんですからね」
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525:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/09/28(土) 14:01:12.32 ID:KVRRLmPoo

 いつもは親密さすら感じる部室という空間が、ひどくよそよそしく、冷たいものに思えた。
 居心地が悪くなったので、荷物を持って帰ろうとした。空間にすら軽蔑されているような気がしている。

 部室を出るとき、机の上にシャープペンを見つけた。
 なんだか気になったので、近付いて手に取ってみる。

 部活中、部長がずっとカチカチやってた奴だ。何度か見たから、間違いない。忘れていったんだろうか。
 
 なんとはなしに、部長がやっていたようにノックしてみる。カチカチと音がする。
 けれど、芯は出てこなかった。入っていないのかと思ってひっくり返してみると、三本ほど真新しい芯が出てくる。

 先の方を見てみると原因が分かった。
 ペン先が潰れているのだ。

 つまり、もうこのペンはダメだということだ。
 何回ノックしたところで芯は出てこない。役目を果たすことができない。
 
 誰が何をやったってもう出てこない。俺は少しだけ笑ってしまった。

 可哀想に、と俺は思った。でもまあいいじゃないか。どうせ替えが効くんだ。
 部長は新しいシャープペンを買うだろう。たぶん今度はおまえより丈夫な奴を。おまえより使い勝手がいい奴を。
 だから安心して天に召されるがいい。さらば。

 俺は机の上にシャープペンを置いたあと、手のひらを合わせて数秒拝んだ。
 それから、なんだか嫌な気分になって、すぐに部室を出ることにした。




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