過去ログ - 後輩「わたしは、待ってるんですからね」
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]
2013/10/02(水) 18:41:54.42 ID:OhIxdLvyo
腕が自分の腕じゃないみたいに簡単に動いた。
今まで俺の体を何かが縛り付けていて、それが一気に解き放たれたみたいな気分。
よく分からない昂揚感。ほとんど暴走するような感覚。
俺は今書いている。いつもよりずっと自由に。頭を熱くして。
書き終えてみるとそれは千五百字ほどのショートショートだった。
ストーリーの展開にもほとんど悩まなかった。
本当に起こったことみたいに思えた。
それは本当に起こったことで、ひょっとしたら俺は、記憶を書き起こすように書いただけなのかもしれないと思えるほど。
俺は書き終えたものを読み返してみた。短い。でも悪くない。
文章の読み心地も悪くない。テンポはいいけれど書き崩しているわけでもない。細部は丁寧だ。
面白かった。自分で読んでクスクス笑えるくらいだった。
ただの文章だ。俺が求めた、何も起こらない、にもかかわらず面白い、そんな文章だった。
展開やストーリーではなく、語感や言葉の並びによっておかしさを掻き立てる手法。
でも、と俺は思った。
いったい誰が、これを読むんだ?
熱はそこですっと冷めた。
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