過去ログ - 後輩「わたしは、待ってるんですからね」
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596:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/07(月) 19:40:21.41 ID:0AsOA6Dxo

 俺はその様子を見て、なんだか急にいろいろなことの辻褄が合ったような気がした。
 もちろんそれはただの錯覚なんだけど、そのときはそれが真実であるように思えたのだ。

「動物園に行きたいな」

 俺がそう言うと、妹はたいして表情も動かさずに、怪訝そうにこちらを見た。

「……急にどうしたの?」 

「行こう。今週末。行きたくない?」

「……まあ、いいけど」

 それから妹は髪を乾かした後すぐに部屋に戻ってしまった。
 俺はしばらくリビングの椅子に腰かけながら、自分自身のことだけを考えた。
 
 今ならいろんなことが上手くやれるような気がする。どんなことだって楽しめるような気がする。
 そういう手段が思い出せてきた。俺にだってそういうことをできる神経がちゃんと備わっているんだ。

 誰かに優しくしたり、誰かのことを大事にしたり、そういうことだってできるんだ。
 いろんな言葉が俺の頭の中で意味もなく鳴り響いた。
 
 俺は部屋に戻ってからもう一度ノートに向かい、新しい話を書いた。
 その話の中では、誰も部屋の中に閉じこもったりはしていなかったし、誰も外に出ようなんて考えてはいなかった。




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