過去ログ - 後輩「わたしは、待ってるんですからね」
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621:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/07(月) 19:52:22.17 ID:0AsOA6Dxo

「わたしはずっと暗いトンネルの中を歩いていたような気がするんです。すごく孤独に。無自覚に。
 でも、せんぱいの文章は、わたしに自分の居る場所がどこなのか、教えてくれた気がするんです。
 何をすればいいのか。だからわたしは、せんぱいの書く話が気になって仕方なかったんです」

「きみにひどいことを言った気がする」

 彼女は首を横に振った。風が吹いて、彼女の髪が揺れた。

「わたしも、ひどいことを言いましたから」

 ごめんなさい、と彼女が先に言うので、悪かった、と俺は追いかけるみたいに謝った。

「俺もきみの書く話を読んだよ」

「……どうでしたか?」

「俺のよりずっとよく出来ていた」

「……そんなこと」

「よく出来ていたんだ」

「……ありがとうございます」

「こちらこそありがとう」

 彼女は照れくさそうに笑った。

「出口があるといいな」と俺は言った。
 彼女は何も言わずに頷く。そして俺は屋上を後にした。
 扉を閉めるとき、彼女の姿を見たけれど、動き出す様子はなかった。ただじっとそこに留まっていた。




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