過去ログ - 日下部若葉「若葉おねえさんにお任せなの」
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27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/24(土) 21:19:23.85 ID:jwS6se1E0

「そうそう……さっきの、彼の昔のことについてだけど……その様子なら、たぶんいずれ話してくれるでしょう。だから……私の話はここまで」

 そう言いながら、礼子さんは立ち上がる。そして口元に笑みを湛えたまま、私を一瞥する。

「それから、一つアドバイス。愛は言葉で語りつくせるものじゃない……でも、伝えるためには言葉が必要。覚えておいて」

 そんな言葉を置き土産に、礼子さんは彼女の担当プロデューサーの元に行ってしまった。
 テーブルに目を落とすと、私がお酒を注いだ礼子さんのワイングラスは、いつの間にか空になっていた。

「愛は言葉で語りつくせない……でも、伝えるには言葉が必要……」

 そう言われても……私の心がわからない。心がきまらない。自分の事の、ハズなのに。
 
 テーブルのワイン瓶を手に取り、グラスに注ぐ。
 そうして、一気に飲み干した……整理できない気持ちと、脳裏に浮かんだ彼の顔と一緒に。

「……けほっ。そういえば……ワインって、こんな風に飲むものじゃ、ないんだっけ……」

 口の中に残った苦みに、ひとつ咳き込む。

 典型的な女の子……礼子さんの呟きを思い出す。
 いくら口で自分はオトナだと言っても、結局の所、私は。
 まだ背伸びしてるだけの、ワインの味の良し悪しすらわからない……女の子のままなのかもしれない。



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