過去ログ - 日下部若葉「若葉おねえさんにお任せなの」
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46:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/25(日) 15:18:24.09 ID:HxAfDMMz0

 さっきの謝罪の言葉以来、彼は言葉を発さない。
 ベンチに腰掛けたまま、再び顔を俯けている。

 私は、彼の隣りに腰かけた。一瞬、彼の顔がこっちを向いたが、すぐにまた俯いてしまった。

「すまない……若葉さん……俺は……」  
  
「そんな! ちょっとしたミスですよ、こんなの〜……実際、オーディションには手ごたえがありましたし、さっきの事も丸く収まりましたし」

「でも……俺は……」

「もう、どうしちゃったんですか? いつもの頼りになるプロデューサーじゃなくて、まるで……」

 その時、不意に彼が顔を上げた。
 不安げな表情を浮かべ、片目から一筋の涙がこぼれている。

 それを見た瞬間、見つけた、と思った。
 昔の私が知らず、今の私が知っている、頼りになる大人の男のプロデューサーではなく。
 泣き虫な、小さい男の子……あのころの幼馴染が、私の目の前にいると思った。

 それと同時に、私の心に、パズルのピースがぴったりと嵌まる様な感覚があった。
 そうだ……あの頃の小さな男の子も、頼りになる大人の男の人も。

 そのどちらもが、私の目の前にいる人なんだ……私が側にいて欲しいと思ってる人は、間違いなくこの人なんだ。

 私が好きになったのは……この人なんだ。



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