過去ログ - 日下部若葉「若葉おねえさんにお任せなの」
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91:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/27(火) 20:20:33.51 ID:7ZscUsOc0

「……もしかして、こうなることを予見していたのですか、社長?」

「いえ、そうではありません。そうですね……先程、高橋さんの言ったような、粋な計らい、というのをやってみたかっただけですよ。彼と彼女とは、盃を共にした仲ですからね。たまにはこういうのもいいでしょう、と思ったのです」

「あら、お二人とお酒を飲んだんですか? ずるいわ、私も誘ってくださればよかったのに」

「いいえ。もっとずっと前の事ですよ」

 そう、あの二人はもう覚えていないだろうことだ。

 社長がまだ、20代後半の頃……事務所を設立させる前、様々な仕事を転々としていた頃。

 寒空の下走りまわってきた少年と、彼を姉の様に見守っていた少女。
 
 その2人にコーンポタージュを振る舞い、当時自身が勤めていた学習塾の片隅で、共に飲みあった仲なのだ。

 社長はその事を思い出しながら、少々感傷にすぎるかな、と思い苦笑した。

「……珍しいですね。社長が笑うところ、久しぶりに見ました」

「私も人間と言う事です。これからの未来を楽しみにしている、一人のロマンチストですよ。これでも……ね」

 そう言い終わると、社長は空になったコーンポタージュの缶をゴミ箱に捨て、休憩室を後にした。



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