過去ログ - 食蜂「好きって言わせてみせるわぁ」 その3
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133:乾杯 ◆ziwzYr641k[sage saga]
2013/08/27(火) 23:40:19.31 ID:GvW4ts2L0
「――ま、まさか、冗談だろ!?」

距離が一気に狭まったことで、猟犬たちは何が起きたかをやっと理解した。
その少年が何をやってのけたのかを。

暗がりでは太い腕に見えたもの。
その正体は紛れもなく上条の左腕であり、そして腕に巻きつけられた防弾チョッキだった。
どこか見覚えのある墨色の生地と刺繍は猟犬の支給品だ。
おそらく倒された仲間から調達したのだろう。

ぐるぐるに巻かれた腕を盾代わりにし、迫りくる銃弾を受け弾いている。
相手のやっていることを脳が認識し、三人は驚くより先に戦慄した。

確かに学園都市製の防弾チョッキは優秀だと評判で、外国の要人からも頻繁に注文が入る。
とはいえ、弾を堰き止める構造上、受けた衝撃まで減殺しきれるわけではない。
悪くて粉砕骨折、よくても骨にヒビの一つや二つは入るだろう。
当然、直撃すれば痛みだって感じるはずだ。
それ以前に、銃弾を見切られているということ自体まともではない。

あるいは、この少年は受けきれなかった場合のことを一考だにしていないのではないか。
再起不能の重傷を負うことを、全く恐れていないのではないか。

得体の知れぬ気持ち悪さを感じ、猟犬たちが引き金にかかった指を小刻みに動かした。
焦りで狙いが甘くなり、散らばった銃弾の一つが上条の左腿を掠め、制服の袖を撃ち抜き、右のこめかみを抉った。

それでも、上条の左手は急所に向かう弾丸を選び、確実にシャットアウトしていた。
そんな非常識な光景が、彼らに弾切れを気づかせなかった。

空撃ちで致命的なミスを悟り、大慌てで弾薬補充に入った間隙を縫い――ついに上条が間合いを踏破した。


「――うぉららああぁぁぁ!」


勇ましく雄叫びを上げた上条が、盾にしていた左手を相手の顔面目がけて振りかぶった。


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