過去ログ - 食蜂「好きって言わせてみせるわぁ」 その3
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188:乾杯 ◆ziwzYr641k[sage saga]
2013/09/03(火) 09:23:26.95 ID:dpPWLj7X0
「冷静に、ここに何をしに来たのか思い出してください」

神裂が駆動鎧を見上げたまま、淡々とした物言いで背後の上条に語りかける。

「あなたは、彼らに復讐するために危険を冒してここまで出向いたのですか?」

「んなことはねえ! ねえけど――」

「では、こう言ったほうが聞き入れやすいですか? ――無用な心配は、聖人の称号に対する侮蔑も同然なのですが」

上条の惑うような視線に含むものを感じ取ったのか、神裂は結い上げた髪を片手で払いながら断じた。
プロの判断に口を出すな。
そう窘めているのと同時に、自分の実力を信用しろと言っているのだ。

先ほどよりも口調をいくらか和らげ、神裂が念押しする。

「行動不能にするのにいささか手間がかかる。私にとって、彼らは所詮その程度の相手ですよ」

『……あぁ? 何舐めたこと言ってんだ。この姉ちゃん、正気かよ?』

「――――、」

上条は知っていた。
神裂は、決して自分の力を固辞するタイプの人間ではないことを。
つまり、今の台詞は自分の至らなさが言わせたもので、彼女の心遣いが言わせたものだ。

しばしの沈黙の後、上条がゆっくりとうなずいた。自分に言い聞かせるように。

「その言葉、信じていいんだな」

「愚問です」

その短い返答を聞いて、ようやく腹が決まった。
こうまで確信に満ちた言葉を聞かされては、言い返せることなど何もなかった。


「……わかった、ここは頼む」

「ええ、頼まれました」


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