過去ログ - 食蜂「好きって言わせてみせるわぁ」 その3
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乾杯
◆ziwzYr641k
[sage saga]
2013/09/03(火) 09:34:04.08 ID:dpPWLj7X0
刀を手に立ち塞がる神裂の背中を、彼女が向かい合う駆動鎧たちごと一瞥し、上条が振り切るように踵を返した。
『はは、おいおい! あんな啖呵切っておいて、女を置いて手前だけ逃げるってのかよ! あの時とまんま同じ状況だなぁ!』
後ろからの嘲笑にほんの一瞬、堪えるように息を飲み下し、上条が通路の奥へ駆け出した。
『臆病もんが。すぐに追いかけて蜂の巣に――』
「させませんよ」
上条の足音を聞き流しながら、しかし神裂の意識は三体の駆動鎧に向けられている。
(神裂火織個人としては、彼に心配されることについて、さほど悪い気分でもないのですけれどね)
そんなささやきを胸にしまい、神裂が戦闘態勢に移行する。
『白い足そんなに晒しちゃって、ずいぶんと挑発的な格好じゃねえか』
男の指摘通り、神裂の格好は普通とは言いがたかった。
サイズが大きめのTシャツをラフに結び、捲れ上がった裾の下からへそが覗いている。
ジーパンの片足側はほぼ剥き出しで、眩しいくらいに白い太腿が露わになっている。
露出の多さは水着とほとんど変わらないだろう。
けれども神裂の格好には意味があった。
彼らの想像が及ばない領域において。
粘っこい音声を発した青いカラーリングの機体を、神裂が冷やかに見つめた。
上条を痛めつけたという男が搭乗する機体を。
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