過去ログ - 食蜂「好きって言わせてみせるわぁ」 その3
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乾杯
◆ziwzYr641k
[sage saga]
2013/09/03(火) 10:33:26.13 ID:dpPWLj7X0
「いやいや、お前さぁん、冗談言っちゃいけませんぜぇ」
そう言いながら、男が再び缶飲料に口をつけ、喉を鳴らした。
「つい三日前に半死人同然だったやつが、俺を殺すぅ? 俺らの目の前でどんだけみっともない姿さらしたのか、もう覚えてないワケ?」
引きつけを起こしたかのような哄笑を無視し、上条が一歩、また一歩と距離を詰め始めた。
「……かぁー、まいったなぁ。あんとき頭でも打っちまったかぁ? 脳に障害抱えて残りの人生――」
男が台詞を言い終える前に、爪先に力を込めていた上条が、地面を一気に蹴り出した。
10メートルはあろうかという距離をわずか二歩で縮め、それを見止めた男が咄嗟に腕を動かした。
すんでのところで上条の右手が男の右手に遮られ、小気味良い音を奏でた。
男が手にしていたスチール缶が一瞬にしてぺしゃんこになり、中身が上下に迸った。
「…………、」
炭酸で泡まみれになった男の顔から笑顔が消えているのに満足したのか、上条の口元が微かに綻ぶ。
「……そんなにおかしなことを言ったつもりはねえぞ? おっさん」
「……あーん、そーかそーか」
突き出された握り拳と上条の顔を見比べながら、男は空いているほうの手で濡れた前髪をさっと後ろに流した。
「いやぁ、確かに。よくよく考えたら全然笑えなかったわぁ」
口調はどこまでも穏やかで、しかし眼差しには隠しきれぬ怒りが潜んでいた。
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