過去ログ - 食蜂「好きって言わせてみせるわぁ」 その3
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240:乾杯 ◆ziwzYr641k[sage saga]
2013/09/07(土) 22:15:08.90 ID:eVoQzYad0
――――…………


気がついたときには、うら寂れた雑居ビルのガレージ前にいた。
駐輪場の方からは、トタン屋根を叩く雨音が聞こえる。
膝を抱えた少女は石段にぺたんと尻をつけ、恨めし気に濃い灰色の空を睨んだ。
垂れ下がった金色の毛先からは断続的に水が滴り、股下に小さな水たまりを作っている。


「……何で」


通りを走る車のヘッドライトがすぐ傍の水たまりを照らし、反射的に頭を下げる。
頭の中はほとんど真っ白だった。
研究所を飛び出してから発射寸前のバスに飛び乗ったのは覚えていたが
そこからここまでどうやって辿り着いたか、ろくに思い出せない。
ただ、自分がしでかしてしまったことに対する強い後悔だけがあった。

「何でよぉ。今日に限ってこんなこと……有り得ないじゃなぁい」

少女が唇を戦慄かせ、頭を抱えた。
暴走なんて、今までただの一度もなかったのに。
いつものように、リモコンを向けて洗脳しただけなのに。


「……どうして、私ばっかり」


いつまで、こんな目に遭い続けるのか。
今はそうやって、世界に、運命に、問いかけるのが精いっぱいだった。


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