過去ログ - 食蜂「好きって言わせてみせるわぁ」 その3
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245:乾杯 ◆ziwzYr641k[saga]
2013/09/07(土) 22:50:43.09 ID:eVoQzYad0
「――あぁ、もしもし。小萌先生? 今大丈夫すか?」


聞き覚えのある名が少年の口から出たことに、頭に警戒と戸惑いが等分で浮かぶ。

「いえ、たった今それらしい子を見つけたんすけど」

小萌。研究施設で顔馴染みになった学園都市の教師、月詠先生の下の名前。

「ええ、どうにも警戒されちまってるもんで、そうしてもらった方が手っ取り早いっすね。んじゃあ、一旦彼女に代わりますから」

そういうと、少年は携帯電話を手のひらに乗せて差し出した。

「えっと、ミサキちゃん、でいいんだよな? 悪ぃけど、ちょっと電話に出てもらっていいか」

ゆっくりと、深呼吸する。
初対面のはずの自分の名前を知っている。
ということは、本当にかけている相手は彼女なのかもしれない。
もし違ったとしても、この電話で警備員に通報してしまえばいい。
そんな隙があるかはわからないけれど。

おっかなびっくり手を伸ばし、携帯に指先が触れた途端ひったくるように電話を奪う。
一瞬怒鳴られるかと覚悟したが、少年の表情は心なしか、先ほどよりも和らいでいるように見えた。
上目遣いで少年の顔色を窺いながら、寒さと恐怖で強張った唇を、懸命に動かす。

「……も、しもし」

『あぁ、食蜂ちゃん!? よかった、急に飛び出していってしまったから、本当に心配したんですよ?』


ちゃんと聞き覚えのある声色に、思わず安堵の息が漏れた。


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