過去ログ - 食蜂「好きって言わせてみせるわぁ」 その3
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255:乾杯 ◆ziwzYr641k[saga sage]
2013/09/08(日) 00:32:29.77 ID:3H1ykXf50
しばしの間、小萌が少女を無言で見つめた。
相手が本気なのか、見定めるかのように。

「……もしかして、上条ちゃんにも問い詰めたんです?」

「それは、まだです。そうしようと考えていたケド、あの日以来、彼、全然捕まらなくて」

授業が早く終わった日や解析実験のない日を選んで、何度かバスで上条の住む寮を訪ねた。
だが、インターホンを押しても留守だったし、最終バスの時間ぎりぎりまで待っていても、上条が現れることはなかった。

「……恩人かもしれない人に、そうやってリモコンを向けるつもりです?」

「月詠先生が知らぬ存ぜぬを突き通すなら、そうせざるを得ないでしょうね」

「こ、困りますよ! 彼には誰にも知らせないようにって念押しされてるんですから!」

「……独断で施設内に部外者を入れたと知れれば、責任力を問われますよねぇ」

少女の脅し文句に、小萌が「あぅあぅ」と呻いた。
もちろん、外に漏らす気などなかった。
彼女が善意から彼の協力を仰いだのは間違いなかったし、それがなければ自分の身が危うくなっていたのも事実だ。
恩を仇で返すのは、性に合わない。

それでも、この点について妥協するわけにはいかなかった。

「先生から聞いたとは絶対に言いません。お願いですから、私だけ仲間外れにしないでください」


リモコンを引っ込めて頭を下げた少女に、小萌は苦りきった顔のままストローに口をつけた。


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