過去ログ - 食蜂「好きって言わせてみせるわぁ」 その3
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300:乾杯 ◆ziwzYr641k[saga]
2013/09/11(水) 08:30:00.11 ID:bCBZW/S80
温かな記憶。
苦い記憶。
忘れかけていた記憶。
忌まわしい記憶。

掛け替えのない記憶。


身に覚えのない光景が、一つ、また一つと弾けていく。シャボン玉さながらに。
大きな泡が砕けていくたびに、両足を鎖に繋がれた少女が短い悲鳴を上げている。
頭を抱えたまま暗闇に突っ伏し、身を震わせている彼女に、ただ憐憫の情を抱く。

あの少女は超能力者であるにもかかわらず、幸せとはかけ離れた場所にいる。
永久に閉ざされた氷の牢獄で、罪の意識と、他人の悪意と、自らの能力に苛まれている。
心を読める彼女が誰も信頼できないのと同様、心を読める彼女を誰かが信頼することはない。


私とは違って。

上条さんを心から信頼する、何の変哲もない無能力者として生きてきた食蜂操祈とは違って。


夢の中にいる食蜂操祈に似た何者かは、いつまでも、どこまでも、ひとりぼっちのままだ。
目的のためには手段を選ばない性格ゆえに。
誰もが羨み、誰もが恐れる能力を持つがゆえに。

こんなものが現実の私でなくてよかったと、心の底から安堵する。
あくまでこれは夢であって、だからそんな印象も現実には持ち帰れないだろうけど。

ふいに意識が浮上し、閉じた目蓋の裏にほんのりと光が灯った。


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