過去ログ - 食蜂「好きって言わせてみせるわぁ」 その3
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337:乾杯 ◆ziwzYr641k[saga sage]
2013/09/26(木) 22:51:24.82 ID:VsZoKgEE0
「だってそうだろ? 洗脳が完了しないまま奪還しちまったところで、あの女が能力を取り戻す保証はないんだぜぇ?」

一理あるが、それは幻想殺しを知らない人間の言い分だ。
上条は幾分余裕が戻ってくるのを感じた。

「ま、運よく取り戻せたとしても、もう元の鞘には収まらねえだろうがな。年頃の娘が得体の知れない連中に拉致監禁されたとなれば一大スキャンダルだ」

確かに、その点は上条も懸念しているところだった。
イメージが壊れただの何だのと難癖をつけて、企業スポンサーの中からも手を引くところが出てこないとは限らない。
それどころか彼女の派閥の解体やレベルの見直しまであるかもしれない。
最悪能力がこのまま戻らなければ、レベル3以上の能力者御用達である常盤台を追い出されることにもなるだろう。

「これでわかっただろぉ? あの娘はもう何をどうやったって詰んでるんだよ。逃げ場はねえし自分で居場所を築くこともできねえ。ジ・エンドだ」

勝ち誇ったように語る男に、上条は頭をかったるそうに掻きながら、さも不思議そうに尋ねた。

「それが、何だってんだ?」

「……は?」

「能力を取り戻せようが取り戻せまいが、んなことはどうだっていい。心理掌握? 最強の精神系能力? 副産物に未練なんざ最初っからねえ」

「……、」

「とにもかくにもあいつの身柄を確保する。あとのことは、それからゆっくり考えるさ。二人でな」

白衣の男は怪訝そうに眉をひそめ、次いで合点がいったように顎を撫でた。


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