過去ログ - 食蜂「好きって言わせてみせるわぁ」 その3
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340:乾杯 ◆ziwzYr641k[saga sage]
2013/09/26(木) 23:11:04.78 ID:VsZoKgEE0
「――ッ!」

翻った白衣が上条の視界から、男の姿を一時完全に覆い隠した。
踏み込みを停止した上条をよそに、男が先ほどの上条の頭の位置を正確にトレースし、たなびく布地の裏から渾身の突きを見舞った。

繰り出した拳骨が上条の頬肉に触れかけ――

「――つぅ!」

辛うじて上条が首を捻り、芯を外した。
またも皮一枚で逃れた上条に、男が内心で舌を巻いた。
あるいはこれで終わるのではと期待していた。
おそらくは白衣が巻き込まれるように動いたのを目の端に捉え、咄嗟に身を反らしたのだろう。
勝負勘の強さはまさに歴戦の傭兵並だ。

だが、それを隠れ蓑にした一撃までは読み切れなかったようだ。

「――――ぐぎっ!」

上条の口から苦鳴があがった。
男の一撃目を避けようと仰け反ったその位置に、狙い澄ました膝蹴りが放たれていた。
それが上条の太腿――三日前に刺し傷を負った場所に――寸分違わず命中した。

明らかに表情を一変させた上条に、男が獰猛な笑みを浮かべた。
先ほど微かに遅れたリズムから、三日前に負傷した左足が痛み出したのだと判断し、目論み通りの一撃をヒットさせたのだ。
学生ズボンの下では確実に傷口が開いていることだろう。
体が沈みかけた上条を見下ろし、男が勝利を決定づける追撃を放つべく拳を掲げた。

だが、そして、にわかに男の顔色が一変した。
すぐさま開いた傷口に向かうはずの上条の両手が、気づけば自分の肩にかけられていた。


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