過去ログ - 苗木「僕たちの日常の短編集」
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48:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2013/08/24(土) 20:20:25.27 ID:r0c6KqPg0
「それにしても…。お嬢ちゃん良い子だね。
 嫌がるそぶりもなくそぶりも見せないなんざ。お父さんお母さん想いなのかい?」

 車の中で、その時横にいた男が話しかけてきた事を、今でも鮮明に覚えていますわ。

「いえ…。あのお二方とはかんけいありませんの。
 それと、1つ確認したい事があるのですが?」

「なんだい?」

「柴田組とは…。ご存知ですか?」

「あぁ!?」



 聞きましたの。先ほど家の中で一人の男が電話越しに話していた事。
『柴田組に睨まれないように丁寧にやるから安心しろ』と。
深い事は何も知りませんが、どうやらこの方々はそこに恐れている様子。

「なんでその名前を知ってんだい?」

「いえ、わたくし、そこの方と多少なりとも交流がありまして」

「ハッハッハ!馬鹿を言え。借金まみれのバカ共の娘が柴田組とかかわりのあるはずがねえだろうが!」

「でしたら聞きますが。借金まみれのわたくしに、どうしてこのような綺麗な洋服が着れているのでしょうか?」

「……はぁ?」

「個人的なお付き合いといっても、仲良しな友達ではありませんの。
 そう、あなた方と父の関係と同じ関係ですわ」

「お前、柴田組から金を借りてるのか…?」

「ええ。200万円程。ですので改めて申し上げます。
 わたくしをさらっていいのですか?」


 嘘。詭弁。とっさに思いついた事ですが、こうもうまくいくとは思いませんでした。
わたくしはお姫様ですのよ?Fランクの人間に命令することはあれど、服従などいたしませんの。

 しかしながら、普通に考えれば分かる事ですわ。
わたくしのような年齢の人間が、いくら裏であろうと、200万円など借りれるわけがありませんの。


でも、嘘を信じさせるのは簡単ですわ。わたくし、知っていますもの。



たった一つだけ行えば、どうな嘘も真実になる。それはたった一つ。
簡単な事ですわ。


【揺るがない事】




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