過去ログ - 吸血少女と待つ夜明け
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108:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/31(土) 01:47:27.15 ID:EaOumZa8o

 その夜から十日ほど後。
 僕は全速力で走っていた。
 向かうはホテルの方向。
 時間はまだ七時で、アルバイトは無理矢理早く抜けてきた。

 ぜいぜいと息が切れ肺が痛むが構ってはいられない。
 彼女が、ヒナが危ないのだから。

 アルバイトの終わり頃、携帯が鳴った。
 何の気なしに取った。
「俺だ」
 声は開口一番にそう言った。
「わかるな? フロントだ」

「ああ、分かりますよ。なんですか?」
 僕は仕事で噴き出した汗を拭きながら暢気に返した。
 その時の能天気具合は自分で自分を殴ってやりたいぐらいだった。

 声は落ちついた調子で、しかし早口に告げた。
「単刀直入に言う。ヒナちゃんが倒れた」



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