120:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/31(土) 05:19:12.69 ID:EaOumZa8o
独特の、鈍い手応えがした。
うめくような悲鳴を上げて男が倒れた。
やった。と思った。これで人間一人分の血液が確保できる!
大した距離を走ったわけではないのに息が荒かった。
脚も震える。ついでに手も震える。
さっきの手応えで痺れたように力が抜けていた。
そして、見やると男は這うようにして逃げ出そうとしている。生きていた。
止めを刺さなければならない、と気づいた。
追いかける。ナイフを振り上げる。
「う……」
後は振り下ろすだけ。それで終わる。
だが、できない。さっきの鈍い肉の感触が僕にそれをさせてくれない!
なんでだよ! 僕は毒づく。なんでできない!?
口から嗚咽に似た声が、目から涙に似た汗が、それぞれ洩れて落ちる。
そして気付く。
僕にはできない。
どうしたって、できない。
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