213:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/09/23(月) 00:04:47.93 ID:jvpYOXc/o
……彼女達とは、最初の頃、友人として接していたじゃないか。どうして忘れてしまっていたのだろう。
それなのに、ある日突然私達が狂わされた出来事があったのだ。それは……超能力発現薬(制作者不明)大特価セールというものである。
何だろう、と、私達四人は互いに見つめあい、目だけで確認していた。
これは危ない物じゃないのか。なのにこんなのが、路上でセールを行われているのだ。
その際に、この路上で店を開く男の妙な笑みを思い出す。あの笑みは、もしかすると……。
「ね、買ってみない? 千円って異様に安いし、おまけに残り四個だけだし」
「わ、私はいいや……」
「どうしてよ莉緒。いつも脳内メルヘンで、超能力が使えたらなぁとか言ってるじゃない」
「い、いや、それはその……、使えないわけじゃないんだけど……ぼそ」
「え? 何か言った? とにかく、皆で買ってみましょ、ね?」
風霧零音のその興味を示した笑顔に押し負けた形になった私達は、その小瓶の液体を購入。
千円の出費は割りと大きいのに、と嘆くのだが、それを暫く私は口にはしなかった。
しかし、風霧零音は、テレキネシスのような能力を身につけ、葉月恵菜はテレポートのような能力を、そして曽我部アキは分子分解という能力を、
それぞれ身につける事になり、彼女達は普通の人間じゃなくなった。それが、増長と驕りを呼んだのだ。
「はぁ!? 男子達、覗き見していたのは知ってるのよ。……死にたいの?」
「私の瞬間移動は、飛べない場所なんてない。……女子の盗んだ下着を返さないのなら……」
「おーほほほ、イジメとはみっともないですわね。……そんなクズなんて、分子レベルに帰しなさい」
彼女達は恐喝紛いの正義的行動を取り始めたのである。それを、友達である私は止めたかったのだ。
だけど、あのクスリを飲んだ途端、私の空間圧縮の能力は膨大に膨れ上がり、そして自我すら保てなくなっていく――。
―― 忘れていた、いや、忘却させられた? 分からない。
けれど、あのクスリが切欠となり、私達四人はバラバラとなり、私はひたすらに最強を目指し、思うように世界を操ってきた。
つまらなかった。世界最強なんて、目指すもの。なってしまっては、最早残る時間は空虚なものだとすら、感じられていた。
けど、今は違う。今こうしてまた、四人で友達となり、わいわいと騒げる日々が嬉しい。
私には、取るべき道が大きく二つあるだろう。一つは、黒幕を炙り出し、思惑が何だったのか尋ねるという選択。
もう一つは、このままこの世界に残り、四人で幸せに過ごす道。
……私は、>>214という選択を選んだのだ。
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