17: ◆bsVOk5U9Es[saga]
2013/08/28(水) 21:19:51.04 ID:0wTRHLBzo
待つこと暫くした後、漸く男性が戻って参りました。
右手には白い紙袋が提げられており、心なしか甘い香りがより一層と広がったような気もいたします。
男性は待ち受けていた二人を見ると、何やら溜息をひとつ。そして、とんとんと彼女たちの頭を軽く小突くのでした。
「やっぱり直ぐバレちゃったか。」と少女の一人は言います。
「当たり前だろう。いくらお前たちが似ているからって、入れ替わって気付かれない訳が無い。」
男性の声は、多分に疲れを含んでいるように聞こえます。
彼の話からすれば、どうやら二人はコンビニの中で互いの衣服を入れ替えていたのでしょう。双子ならでは遊びです。
どうせならもっと近くで見ておけば良かったと少し後悔。もしかすれば私にも二人を見分けられたのかも知れないのに。
「でもでもー、あずさお姉ちゃんには気付かれなかったよー?」
「あずささんは……。あずささんは良いんだよ。」
それより差し入れも買ったから行くぞ。
そう、無理矢理に話を切り上げると男性は背筋を伸ばして真っ直ぐと歩いてゆきます。
待ってよと追い駆ける双子の姿はまるで仔鴨のよう。前を歩く親鴨は、歩幅を小さく出しました。
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