過去ログ - 鷹富士茄子「幸運にめぐまれて」
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39: ◆bsVOk5U9Es[saga]
2013/08/31(土) 21:29:25.25 ID:5XV/thQ7o
 
 壁には全国各地のペナントや外国のナンバープレートに絨毯のような毛織物、ショーウィンドウにもあったお面、優勝旗のようなものも貼り付けられてあります。
眼前の棚には、皿のない天秤や自由の女神の置物、罅割れたワイングラスに文字盤が左右反転した時計など、分類分別区別もなしに陳列されています。
奥を覗き込めば、レジカウンターと思しき所に老婆が一人、椅子に腰掛けているように見えました。
伸びるに任せた灰色の髪。黒い外套に、黒いトンガリ帽子。トドメとばかりにその手には杖までもが握られております。
まるっきりお伽噺から抜け出た悪い魔女のような風貌でありました。
その姿が余りにお似合い、余りに微動だとしないものですから、等身大の人形ではないかと思い始めた頃、ゆうっくりと彼女は手招きをするように動きました。
辺りを見回したところで、私の他にお客さんの姿は影も形もありません。せいぜい、じいっと西洋鎧が仕えているだけです。
漫画のように鎧が独りでに動いたりは――まず、しないはずでありましょうと思いますから、高い確率で老婆は私を呼んでいるのでしょう。
生唾を飲み込み、おそるおそると足を踏み出しました。


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