52: ◆bsVOk5U9Es[saga]
2013/09/16(月) 20:32:05.51 ID:jugo19V7o
代々陶芸を営んできたという男性は、取材陣を蔵の中へと案内しました。
そこには急須や湯飲み、花瓶や茶碗などが数えきれない程に収められております。
「最近はこういったものもつくっている。」そうお爺さんが持ちだしたのは取手とソーサーのついたコーヒーカップでした。
備前焼で作られたそれは、白い洋食器と比べて暖かな印象を受けます。土の色合いや質感がそう感じさせているようでした。
画面は移り、次に映しだされたのは少し罅の入った湯飲み茶碗です。
「失敗なさることもあるのですか?」と、女性はそれを見て意外とばかりに問いかけました。
「勿論ある。土と向き合うは、自分と向き合うと同じ。心が乱れれば、土も、また乱れる。」
男性は続けます。
「それは孫が作ったものだ。この所どうも上の空に見える。難しい年頃だけに、俺じゃあ如何ともし難く歯がゆいばかりだ。」
「お孫さんはお幾つなのですか?」
「じきに十六だ。最近の女の子は何を送っていいのか分からんから困ってしまう。」
「ああ。プレゼントですか? 昔は何を?」
「あの子の食器は全部俺が作った。 今までは喜んで受け取ってくれたんだがねぇ……。」
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