60: ◆bsVOk5U9Es[saga]
2013/09/16(月) 20:45:08.40 ID:jugo19V7o
幼かった時分に、お祭りの度によく母が買い与えてくれたことを思い出します。
どうやら私は子供の頃から変わらずに好奇心というものが並外れて強いタイプであったらしく、人混みに紛れるようなことあれば一息の間に迷子になるという、なんとも役に立たぬ特技を持っておりました。
お祭りの度に行方不明となるのですから、残された両親は常に気が気でなかったことでしょう。
当然、二人としては迷子になる前に防ぎたかったろうでしょうが、余りにも私が逸れてしまうのが早いのです。
61: ◆bsVOk5U9Es[saga]
2013/09/16(月) 20:45:47.07 ID:jugo19V7o
サイリウムのパッケージは懐かしいような、そうでないような、と曖昧な印象を覚えました。
子供の頃から変わっていないようにも、全く見たことがないような気にも思えるのです。
要はパッケージなど気にしているようなお子様ではなかったということなのでしょう。
あれだけお世話になっていながら、私の興味は常に袋の中にしかなかったようです。
62: ◆bsVOk5U9Es[saga]
2013/09/16(月) 20:46:45.57 ID:jugo19V7o
そんな感傷に浸ったものですから、今回はその仕事ぶりをしっかりと目に焼き付けておこうと隅々まで眺め回します。
するとなんとも珍しいことに気が付きました。購入したサイリウムは三本入りなのですが、その表記が少し変わっているのです。
一つは赤。一つはオレンジ。そして残りの一つが蒼。青ではなくて蒼なのです。
63: ◆bsVOk5U9Es[saga]
2013/09/16(月) 20:47:16.71 ID:jugo19V7o
私が受けた印象は、清潔で温厚そうな方だというものでした。
人間というものは、どうにも初対面の方を値踏みとまではいかずとも、それなりに見極めようとしてしまうものなのです。
そうしたことは勿論、私も例外ではなく、彼もまたそうでした。
ゆっくりと上から下まで往復すること二回。
64: ◆bsVOk5U9Es[saga]
2013/09/16(月) 20:48:18.90 ID:jugo19V7o
「社長! 一体何やっているんです? 早くしないと時間がなくなってしまいますよ!」
若い女性の声でございます。
タッタッタと、子気味の良い音を立てながら、彼女はこちらへと駆け寄って参りました。
65: ◆bsVOk5U9Es[saga]
2013/09/16(月) 20:48:51.99 ID:jugo19V7o
「ぐぅ……。だがね、間違いなく彼女は売れる! 私のカンがそう言っているのだよ! これ程の逸材を逃してしまうのは勿体無いと思わないのか!」
「思いません。私の仕事は事務所の子たちをサポートすることです。どうしてもというのなら、先に裏方を増やしてからにして下さい。」
「そうしたいのは山々だがね……。中々そっちはピーンとくる人材がいないのだよ。
66: ◆bsVOk5U9Es[saga]
2013/09/16(月) 20:51:11.91 ID:jugo19V7o
本日分終わり
67:以下、新鯖からお送りいたします[sage]
2013/09/16(月) 21:23:18.34 ID:M3Ir+rU0o
一乙
運がいいんだか、悪いんだか。
68:以下、新鯖からお送りいたします[sage]
2013/09/16(月) 21:50:10.71 ID:DTqz2WxMo
乙^〜
ここで話を聞いていれば俺は茄子さんと会えてなかったのか……。
69:以下、新鯖からお送りいたします[sage saga]
2013/09/17(火) 19:40:58.35 ID:SL74OiP80
鷹富士茄子(20)
i.imgur.com
貼らなくちゃいけない気がした
70:以下、新鯖からお送りいたします[sage]
2013/09/17(火) 23:58:48.45 ID:YrcLgazj0
ラノベやSSというよりも純文学寄りな文体な気がする。
それでいて読みやすい、すばらしい。
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