82:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/11/02(土) 04:04:50.01 ID:0uAGLtKLo
読みごたえあるな
83: ◆bsVOk5U9Es[saga]
2013/11/12(火) 13:05:38.22 ID:339cQtP9o
次いでステージの両袖から姿を見せたのは神谷奈緒さんと北条加蓮さんであります。
橙色にも似た、明るい髪をさらさらと流しながら、北条加蓮さんは踊ります。
ステップは軽やかに。振るう腕は、指の先までもぴんと伸びております。
時折、こちらへと見せる笑顔には、女の身である私にでさえ、くらりと来るものがあるのです。
84: ◆bsVOk5U9Es[saga]
2013/11/12(火) 13:06:04.85 ID:339cQtP9o
茶色の髪を馬の尾の如く揺らすは神谷奈緒さんであります。
私が宿としている、ホテルの受付のお姉さん一押しの子です。
加蓮さんが羽毛の様に舞うのなら、彼女は羽ばたきそのものでしょう。
大空に憧れぬ鳥が居りません。
85: ◆bsVOk5U9Es[saga]
2013/11/12(火) 13:06:36.74 ID:339cQtP9o
程なくして曲が止むと、三人はステージ中央へと揃います。
彼女たちは互いに微笑み合い、客席へと大きく手を振りました。
割れんばかりの歓声がホール内に木霊すれば、彼女たちはまた笑い合うのでした。
86: ◆bsVOk5U9Es[saga]
2013/11/12(火) 13:07:16.53 ID:339cQtP9o
ちょっとした彼女たちのお喋りを挟みと、再び会場内にはメロディーが流れます。
その中を三人は入れ替わり立ち代わり、声を音に乗せて運び続けました。
途切れること無く続く歌は、やがてステージを。客席を、そしてホール中を満たしてゆきます。
私の中にだって、当然の如く音楽は満ち溢れておりました。
87: ◆bsVOk5U9Es[saga]
2013/11/12(火) 13:07:44.74 ID:339cQtP9o
音に包まれるということがここまで幸福であることなど、私は知らずにおりました。
今日、この場所に来なかったのならばきっとこの先も知ることはなかったろうと思います。
ですから、私は持ち前の運良さに一層と感謝せねばならぬでしょう。
88: ◆bsVOk5U9Es[saga]
2013/11/12(火) 13:08:18.02 ID:339cQtP9o
楽しい時間とはあっという間に過ぎてしまうもので、残るサイリウムも一本、一本、また一本と色褪せてしまいます。
新たなサイリウムを折る度に、「この時間がもっと続けば良いのに。」と子供染みたことを思わずにはいられませんでした。
当たり前ですがそんな願いは叶うこともなく、最後の曲となってしまいます。
曲名は『Melted Snow』
89: ◆bsVOk5U9Es[saga]
2013/11/12(火) 13:08:59.70 ID:339cQtP9o
彼女たちが去ったステージ。残された私たちはアンコールを叫ぶのみです。
汗の流れるままに。声も枯れんばかりに。乙女の嗜みなどかなぐり捨てて叫びます。
明るかった照明が音もなく落ちれば、歓喜の声が響きます。
ステージへと駈け出した三人と、聞き覚えのあるメロディー。
90: ◆bsVOk5U9Es[saga]
2013/11/12(火) 13:10:15.06 ID:339cQtP9o
後のことは、もう覚えておりません。
気づけば、こうしてホテルのベットに腰掛けておりました。
どうやって戻ってきたのか――勿論、向かった時とは逆の道を辿ったはずですが――こうしてぽうっと呆けているのでした。
手荷物の確認をしても、特に問題は無いようですから、無事に帰って来れたのだと思うほかにありません。
91:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/11/12(火) 18:46:11.88 ID:bel86IWho
かっこいいなぁ三人とも
92:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/11/12(火) 21:35:41.01 ID:EtcoJIk50
良いね。支援。
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