過去ログ - ヤンデレ勇者とツンデレ王子
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16:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.[saga]
2013/08/30(金) 23:05:57.66 ID:aFfio2WDo
「ぶ、無礼にもほどがありましょう!」

「然り、然り!あれではいかに勇者と言えど問題視せぬわけにはいきませんな!」

侃侃諤諤と勇者の態度の非を鳴らす配下を見渡しながら王弟は思考を巡らせる。
あれは、危険だ。この上なく危険だと本能が告げる。幾多の政争を勝ち抜いてきた本能が告げるのだ。
あれは目の前で繰り広げられる国家の論理から逸脱した存在。あれを国家がその権威で制御するなぞ絵空事。

「困ったものだ……」

口元が歪む。笑顔に見えるようなそれ。その表情を浮かべさせた政敵は一人として生きてはいない。



「困ったなあ……」

瘴気漂う魔王城に向かう勇者は内心頭を抱えていた。なんとなれば、今回相対する魔王軍の適当な魔物の皮を剥いでそれを被って魔王城に突入しようと思っていたのだからして。

「どうしよっかなあ……」

いっそ魔王城そのものを魔法でぶっ壊してしまおうかなあなどと物騒なことを考えるが。

「駄目駄目。きちんと魔王を倒したって証拠がないといけないよね」

いけないなあ、と勇者は頭を振る。

「待っててね、王子君。今に魔王を討ち取ってくるから……」

うっとりとした表情で荒野を歩く。

ぱきり、と彼女の歩みが音を立てる。それは辛うじて残った魔物の骨が奏でる最後の音色。

「王子君……」

魔王が住まう城。その禍々しさなぞどこ吹く風。
奇をてらうでもなく、真正面から門扉に向かうのであった。




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