過去ログ - 削板「一緒に暮らさないか、百合子。」
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26: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2013/09/03(火) 22:58:21.64 ID:aSNq81Rdo



「お前、あの家を出るって本気か、」

上条は心配を通り越して怒っているようにすら見える表情でそう言った。
それはきっと、打ち止めや番外個体、或いは彼女たちの保護者二人を守るために必要なことなのだろう。だけれど、それなら―

「……お前は、一人でどうするってんだ?」

「お前は、誰にも、頼らないつもりか、」

「一方通行、」

「お前、30分しか、能力使えないんだろう……?」

彼は、殆ど彼女の答えなど予想していたと思う。知っていたから、その声は震えていた。どんな手助けも、申し出も、彼女にすげなく断られるだろうと知っていたからこそ、彼は恐れていた。

「じゃあどォしろってンだ、」

彼女は何も期待していない、そう言わんばかりの光のない目でそう言った。

「能力の使えない間、ずっと守ってくれる奴でもいるのか。」

「オマエは無理だ、シスターがいる。俺に四六時中かかずらってはいらンねェだろ。」

「あ、………」

上条は自分がどれほど考えなしに発言をしていたのか、遅ればせながら気が付いた。彼女が誰も巻き込まず、誰にも迷惑をかけずに済ませようとしていることを気付けなかった自分に気が付いた。

「第一、 俺を守ってくれるとかいうそいつが俺の重荷にならねェ保証はあるか。」

「俺の足を引っ張らねェ人間が、この世にどンだけいると思ってンだ?」

下手な協力関係なら願い下げだと彼女は言った。確かにそこらのちょっと腕が立つぐらいの人間なら、彼女にとっては何のサポートにもならない。却って面倒事を巻き起こす可能性があるかも知れないと危惧するのも当然のことだった。

「お前は本当にそれでいいのか……?」

「いいとか、悪いとかじゃねェだろ、」

「それしか方法がねェだろォが。」

そこらのスーパーコンピューターをも凌ぐ頭脳を持つ第一位が弾き出した答えを否定する術を、無能力者は持たなかった。





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