10: ◆delkBMjP.Ce4[saga sage]
2013/08/31(土) 23:35:10.07 ID:xp1O2wjRo
「宜しくお願いします!!」
「ありがとうございます。では、おかけ下さい」
オーディションだから凄い子が来るとは覚悟していたが
こんな雰囲気にも物怖じせず、ハキハキと喋る女の子の笑顔はとても眩しく
正直ここまでレベルが高いとは思っていなかったので驚いた
今回は新人発掘オーディションと言う事で
ダンスや歌ができない子でもこのオーディションに来ている
それを差し引いても、今すぐアイドルになってもおかしくない子ばかりだ
だがそれはオレにとって混乱の元でしかなかった
(どの子も良い、じゃあどの子にすれば良い?)
「この度はありがとうございます。今回は残念ですがご縁が無かったという事で……」
「……ありがとうございました!!」
進行役の爺さんが形式的な質問をしていると
突然に終了宣言が告げられて、身体がビクリと跳ね上がる
いつの間にか話は終わっていたようだ。あの短い時間で何を見たのか?
チラリとのぞき見した堅物のおっさんの手元には、走り書きで「不合格」とだけ小さく書かれていた
結構厳しいもんなんだな、素人だから審査基準がきついのか?
しかし、その不合格に関してオレはある一つの事が気がかりだった
(何を基準に落としたんだ……顔……いや、喋り方か……?)
今の子は容姿も声も素人目から見ても良いと思えた
だが話をした内容はアイドルと関係が無くて、不合格にした理由が分からない
隣に座っているあいつも、薄らと額に汗を滲ませて真剣な目をしている
オーディションが始まってからは、互いに声をかける事はしなかった
自信の担当するアイドルを、二人で相談して決めるというのが変に感じたからだ
そもそも、こういうところでは自分の力だけが頼りとなってくる
普段は仲良くやってるが、こいつとはこういう線引きが常にあった
それがオレの気に入っている所でもあったので、こうして一緒に居たのかもしれない
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