3: ◆delkBMjP.Ce4[saga sage]
2013/08/31(土) 23:22:22.17 ID:xp1O2wjRo
■出会はいつも偶然に
1年前……
ジリリリリ!!
「うっせー……」
カチリ
朝の陽ざしを顔に受けても目が覚めなかったのに
耳をつんざくような爆音にはさすがに耐える事はできなかった
快楽の世界から呼び戻される気分は最悪だ
朝と言うやつは大人になると苦手なものに変わるものだ
「はぁ、用意するか……」
二度寝したいところだけどそうもいかないので
嫌々ながらも勢い良く布団を蹴飛ばして身体を叩き起こす
顔を洗い、ヒゲを剃り、シャツに袖を通して会社に行く準備を整える
何度もやってきた事、と言いたいところだけど久々にやる事だ
こんなピシッとした格好をするのは真面目に就職活動に燃えていた時くらいだしな
高校を卒業してからは、夢も無く、希望もなくただ毎日をボーッと過ごしていて
親には嘆かれ、周りからも諦めの視線で見られるのがうっとうしくて
俺だってやればできるって事を示すために仕事を探し始めた
が、世の中はそんなに甘くない
気合いを入れて色々応募はかけたものの丁重にお祈りされてしまった
それもそうだ、体力もない、頭もよくない、何か技術を持っているわけでもない、おまけに態度も悪い
そんな人間に何かを見出すのは難しいだろう
しかし、そんな中でオレに一生に一度とも言える幸運が訪れた
1つだけ雇ってくれる所があったのだ
アイドルのプロダクション
仕事内容はアイドルをプロデュースする事
正直アイドルなんてテレビで見ている程度の知識しか無い
しかし、できませんのでもっと簡単な仕事は無いですか? とも言えなかった
それがどんなに無茶な要求であろうが引き下がるわけにはいかない
今のオレには選択肢なんて言うありがたいものはない
「うし、行くか!」
普段は出す事はまずないであろう元気な声と共にドアを開ける
外は快晴で、新しいスタートを切りだすにはうってつけの一日だ
これから、無知なオレを待ちうけているのは辛い現実なんだろう
緊張など皆無な自分の性格がこんな時はありがたかった
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