8: ◆delkBMjP.Ce4[saga sage]
2013/08/31(土) 23:30:10.00 ID:xp1O2wjRo
それから数日が経ち、長かった研修も終了し
オレは晴れて新人プロデューサーの肩書きを手に入れた
とは言っても、名ばかりなので何かができるわけでもない
そもそも担当アイドルもいないのにプロデューサーとはおかしな話だ
「……いよいよですね」
「ん? あぁ、そうだな」
隣には研修の間にすっかりと仲良くなった眼鏡の男がいた
あの日から来る日も来る日も先輩にどやされる毎日
この業界の上下関係の厳しさを叩きこまれては
失敗がいかに恐ろしい事かと見せつけられ、一人また一人と仲間は減っていった
「ま、結局オレ達しか来れなかったけどな……」
結局、初日に大勢いた同期はオレとこいつの二人しか残っていない
ここまで残ったのも何かの縁なんだろう、今では二人で行動する事がほとんどだ
「頑張りましょう! 僕は絶対このチャンスを逃しません!!」
研修中に何度も聞かされた掛け声をまた叫んでいる
こいつの言うとおりこれは最初の最後のチャンスでもある
オレは特設のオーディション会場を眺める
アイドルを探すにはスカウトかオーディションがベタな方法だ
担当アイドルは研修中でも探していいとの事だったので
こいつと二人で街角スカウトを試みてみたが、仲良く警察のお世話になった
オレ達にはスカウトの才能は無かったようで何度やっても上手くいく事は無かった
ナンパとはまた違ったスカウトのテクというものがあるのだろう
「……行こう、そろそろ時間だ」
プロダクションの予想通り、オーディションに頼らざるを得ない結果になってしまった
このオーディションでスカウトしたアイドルがオレのパートナーとなる
久々に感じた緊張感に驚きながらも、一歩づつ会場に向かっていった
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