866: ◆Nv7JqrEoRxto[saga]
2013/12/01(日) 02:38:23.04 ID:QMTkWK340
大神「…我が弱いばかりに…すまぬ。このような辛い思いをさせてしまった」
その言葉の意味がわからなくて私は黙っていた。
大神さんはもう何も言わなかった。
朝日奈さんはこのやさしさに触れて、大神さんと友達になったのだろうか。
私も、こんなことをしなければ友達になれていたのでしょうか。
女子のみんなでお菓子を手に談笑している様がありありと浮かんで、すぐにかき消えた。
何かを喪失したような、穴だけが心に残っていた。
その日はうまく眠れなかった。
何を思っていたのかは覚えていない。
ぐるぐるといろんなことを考えたのは憶えている。
寒くて寂しくて、大神さんの手に少しだけ触れた。
傷だらけで節くれた硬い指は少しだけ震えて、止まった。
指先のぬくもりだけが、灯火だった。
この冷ややかな学園に灯る、唯一確かなやさしさ。
…私はこれを消し去ろうとした。
理解したくなくて目をつぶった。すぐに私の意識は閉じた闇に呑まれていった。
深い深い、闇の中へと…
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